くま社長閑話 Vol.270 「芳醇」
先日、久しぶりに近所の銭湯に行った。
たぬき湯と云う。
マンションの1階にある銭湯である。
ご近所の方々は少なくとも1回や2回は利用したことがあると
思っているが、どうなんだろう。
随分前から、そこにある。
玄関前のちょっとした広場に大きなたぬきの像が立っているから、
ご近所ではなくとも、利用したことがなくとも、ご存知の方も多いかと思う。
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広いお風呂はきもちがいい。
番台で入浴代金の他に、100円を支払うと
サウナが利用できる仕掛けだ。
番号札と共に、大きなバスタオルを貸与してくれる。
脱衣所でそいつを腰に巻いて、サウナを利用するのだ。
その為の、謂わば汗取り用に一人ひとりに貸し出される。
4人も腰掛ければ満室になるほど小さいながら、
そのお陰でサウナ室内はいつも高温が保たれている。
入ると程なく、汗が額を滴って、流れ落ちる。
北国の冬場はなかなか生活の中で汗をかくことがない。
それゆえ、サウナが考案され発達したのは、北欧、フィンランド
ということになっている。
汗をかけば水分補給が欠かせない。
世の中広いが、北海道、札幌の水はとてもおいしい。
個人的にも、世の中で一番おいしい飲み物は、札幌のお水だと
確信している。
特に当家のお水、殊更家内で一番おいしく感じるお水は洗面所の
カランから出でる、お水である。
しかもこの冬場、まあ、正確に云えばもう春めいているのだが、
ほんの少しだけ、水を出しておればすぐに冷たくおいしいお水が、
飲めるのだ。
これは本当に幸せなことである。
洗面所は使用頻度が高いので、いつも冷たいお水が出るのだろう、
と考えているのだが、あながち間違えでもなかろう。
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しかし、だ。
やはり風呂上り一杯はやめられないとおっしゃる方も多い。
無論、生ビールのことである。
それを否定する勇気は持ち合わせていない。
が、しかしだ。
やはりその風呂が銭湯の場合、どう考えても、フルーツ牛乳につきるであろう。
これに異論を挟む方がいらっしゃるとは、古今東西、鉦や太鼓で探しても
見つかるもんじゃ、ない。
フルーツ牛乳。
嗚呼、なんという響き。
芳醇なその味わいは、ボクにとって、何時如何なる場合においても、
そこが銭湯である場合、ロマネコンティを遥かに凌ぐ。
全国敵に銭湯が絶滅の危機に瀕していると聞く。
先日、博多冷泉にある創業100年を超える銭湯に入った。
ボクはそこでもまた芳醇なときを味わった。
番台に座る当代4代目の親父さんに聞けば、福岡市内にですら、すでに
20軒をきっているとのことである。
時代か。
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ご当地名産品を扱う百貨店や近所のスーパーにも、
品揃えとして、フルーツ牛乳はケースに並んでいる。
あの、銭湯上がりの芳醇なときを味わいたくて、近所のスーパーで購入し、
家のお風呂上がりに、早速飲んでみる。
おうちで飲むフルーツ牛乳は、残念ながら、やはり、ただのフルーツ牛乳に
過ぎなかった。
2009-04-05 17:44
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